HDLSにおけるミクログリアの形態学的異常
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神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症(HDLS)におけるミクログリアの形態学的異常。ミクログリアマーカーであるIba1免疫染色では、華奢で捻れや、結び目様の構造を示す突起を持つミクログリアが観察され、形態の多様性を減じています (a, b)。電子顕微鏡による観察では、突起内に空胞化を呈する粗面小胞体を認め、タンパク質合成の低下が疑われました (c)。ミクログリアの機能異常がHDLSの病態に関与する可能性が示されました。Tada M, et al. Ann Neurol. 2016; 80: 554-65.
ポリグルタミン病の病理組織学的検討から病態をさぐる
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遺伝性脊髄小脳失調症 (Spinocerebellar ataxia: SCA)の原因となるものに、構造蛋白をつくるグルタミン鎖が異常伸長するポリグルタミン病があります。脳組織では、細胞の核内に異常伸長ポリグルタミン鎖が蓄積しています(* 神経細胞核、➡ グリア細胞核)。病理組織学的に検索することでその診断を確定するとともに、核の機能異常などを研究しています (Bar= 20µm)。
てんかん手術時の海馬摘出標本からのイメージング画像
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てんかんは幅広い病態を基に生じるため、それら多様性を踏まえた研究アプローチが重要になると思われます。我々は実際の脳神経外科手術で摘出されたヒト脳組織標本から動物実験レベルの精度で異常神経活動を可視化し、てんかんの病態や治療法解明を目指しています。
脳小血管病:脳ミクロアンギオパチーの病理基盤の解析
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血管性認知症の重要な原因の一つである脳小血管病の疾患概念の体系化と病理基盤確立を目指します.脳研システム脳病態学田井中特任教授と共同して組織透明化による高解像度3D病理学的解析手法の開発,ならびにそれを用いて高次に機能的である脳微小循環からマクロレベルまでシームレスに疾患脳を解析します。
Globular glial tauopathyにおける,タウ陽性アストロサイトの形態的差異
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Globular glial tauopathy (GGT) は2013年に新たに提唱された,4リピート タウオパチーであり,病理組織学的に類球状のグリア細胞内タウ陽性封入体の存在を特徴とします.GGTには3つのSubtypeが存在しており,私達は,特にタウ陽性封入体の形態に着目して,このSubtype間の新たな違いを検討しています。
脊髄小脳変性症における臨床病理遺伝学的解析
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脊髄小脳変性症は,運動失調を主症状とする神経変性疾患の総称です,病理学的には小脳の変性に加え小脳への出入力系や脊髄の変性を伴います.1/3が遺伝性と推定され,特に劣性遺伝性を示す症例では原因遺伝子が未同定のものも数多く存在します.私たちは臨床病理学的に共通した特徴を持つ症例群を抽出し,脳研究所神経内科の小野寺教授,遺伝子機能解析学分野の池内教授と連携して原因遺伝子の同定を行い,劣性遺伝性脊髄小脳変性症の病態解明に向けた研究を行なっています。